【日本小4道德】4#明年也等着你
ガサガサ。ゴソゴソ。
「あっ、フクロウがやって来た。」
毎年、僕の家には、フクロウがやって来る。夏が近付くと屋根裏に巣を作りにやって来るんだ。
「今年も来たよ。また、一緒に遊ぼうね。」って、フクロウが、言っているような気がするんだ。
フクロウの可愛いところは「顔」だ。ぱっちりした目に、ちょっと曲がった喙。思わず、近付いてみたくなる。フクロウの後ろに回るとフクロウの顔も後ろに向くので、とても面白いんだよ。特に、体は動かずに顔だけ動くところが、最高なんだ。
「君には出来ないだろ。」って言う、フクロウの声が、僕には聞こえたよ。
フクロウは、僕の家の屋根裏で卵を産む。今年は、三つ卵を産んだ。そのうち、二羽の雛が孵った。雛に僕は名前を付けた。「うん」と「ピー」で、繋げて言うと「うんピー」だ。「うん」と言う名前は、うんちばっかりするからで、「ピー」と言う名前は、「ピーピー」鳴くからだ。「うんピー」は、屋根裏をうんちだらけにして育った。
僕は、おすがとってきた獲物を、めすが雛に食べさせているところが一番好きだ。親は優しくて、雛はその優しさに満足している感じがするからだ。その時の雛の顔が幸せそうでいいんだ。僕のお母さんもとても優しい。僕が抱っこしてもらって、甘えている時と同じだね。
うんピーは、生まれてから二十日ほど経つと、顔つきもフクロウらしくなり、鳴き声も力強くなった。大人になると、野ネズミなどを丸呑みにしてしまうらしい。うんピー達が出て行った後巣を見てみると、死んだモグラもあった。フクロウの雛は可愛いけれど、自然の中で生きていくために、そんな恐ろしいことをしていたのかな。きっと、狩りの練習をしていたに違いない。
人と鳥の世界は違う。生き方も違う。鳥は、大きい動物に食べられたり、人間に銃で打たれたり、森には危険がいっぱいだ。辛いことも沢山あるだろう。力もいっぱいいるだろう。けれど、頑張って生きている。
ピーは、嵐の夜に家を出た。うんも出て行った。親から離れ、自分の力で生きていくんだ。
「うんピー、立派に育ってね。」
フクロウが家を出ていった後、森の方から、「ホーホー。」と声が聞こえて来ることがある。うんピーかな。
「また、来年も待ってるよ。」